肉の脂身、バター、オリーブ油、紅花油、えごま油など、一口に油(油脂)と言っても様々な種類がありますね。
どれも、基本的には炭素と水素の鎖状構造でよく似ていますが、それぞれに特徴があります。
摂取を控えたい油
<飽和脂肪酸>
肉の脂身やバター、生クリームなどの、「飽和脂肪酸」
これらは、常温で固形なのが特徴です。
LDL(悪玉)コレステロールを上昇させ、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞になるリスクを高めてしまいますので、摂り過ぎには注意してください。
<リノール酸>
以前はLDLコレステロール低下作用などで体に良いとされていた紅花(サフラワー)油、ひまわり油、コーン油、大豆油などの「リノール酸」ですが、長期間の多量摂取では逆に心筋梗塞や脳梗塞、癌、アレルギーなどのリスクを高めてしまうという研究結果が出ています。
必須脂肪酸ではあるのですが、普通の食事で不足する事はありませんので、意識して摂取する必要はありません。
摂るべき油
<α-リノレン酸>
えごま油、アマニ油などは、もう一つの必須脂肪酸である「α-リノレン酸」です。
n-3(ω-3)系脂肪酸に分類され、血液中の中性脂肪の増加を抑え、血圧を下げる作用があります。
加熱すると酸化しやすいので、冷暗所に保存して生食で摂るとより効果的ですよ。
<DHA・EPA>
青魚の脂に多く含まれている、「DHA・EPA」
これらも、n-3(ω-3)系脂肪酸です。
LDLコレステロール低下作用、血管保護作用、抗炎症作用などがあり、動脈硬化や心筋梗塞の予防に効果的です。
DHAは脳に、EPAは全身の血管に特に有効だといわれています。
実は、このEPAの10倍の効果がある「DPA」という油もあります。
以前のDPAの記事「血液サラサラ効果10倍のDPAとは?」はこちらです。
<オレイン酸>
オリーブ油、菜種油などの「オレイン酸」
LDLコレステロールを下げてくれるので、動脈硬化などの予防効果が期待できます。
一価不飽和脂肪酸に分類され、酸化しにくいのも特徴です。
油脂は、体内で細胞膜の材料になったりと、色々と人体に必要な役割を担っています。
控えるべき油を減らし、摂るべき油を増やすことによって、クリーンな体内環境を作っていきましょう。
薬剤師 西田稔生