カルシウムパラドックスと動脈硬化

骸骨

 カルシウムと動脈硬化

血管内膜で起こるアテローム性動脈硬化症

私たちの動脈は、内膜・中膜・外膜の三層に分かれています。

血管内膜は、LDLコレステロールや活性酸素などの影響により、アテローム性動脈硬化を起こします。

アテローム性動脈硬化症とは、傷ついた血管内膜にLDLコレステロールやマクロファージなどが入り込み、お粥状のコブを形成してしまった状態です。

カルシウム過多で中膜硬化が起こる

そして、あまり知られていないのですが、血中のカルシウムが多過ぎると、中膜硬化を起こしてしまいます。

他にも、カルシウム性の結石ができ易くなったりと、カルシウム過剰状態は人体に悪影響を与えます。

では、カルシウムは摂取しない方が良いのでしょうか?

 カルシウムパラドックス

人体にとって重要なミネラル「カルシウム」

神経伝達物質としても重要な働きをしているカルシウムは、生きていく為に、常に一定の血中濃度に保たれている必要があります。

摂取カルシウム量が減少すると、人体は、骨や歯を溶かしてでも血中濃度を維持しようとします。

過剰な溶出がカルシウムパラドックスを引き起こす

その時に、丁度いい量で溶出が止まってくれれば良いのですが、過剰に溶出してしまい、カルシウム過剰状態を引き起こしてしまいます。

これがカルシウムパラドックス(逆説)と言われる所以なのですが、「カルシウムが足りないと、逆にカルシウム過剰を起こす」のです。

カルシウムはしっかり摂取して、動脈硬化を予防してください。

人間の体って、面白いですね。

薬剤師 西田稔生