食べるプラスチック(トランス脂肪酸)

マーガリン

 そもそもトランスとは?

シス型とトランス型。

化学の時間に習ったかもしれませんが、これらは二重結合部の方向を表しています。

折れ曲がった形がシス型で、直線状がトランス型。

そして、自然界に存在する天然の脂肪酸は、ほとんどがシス型になっています。

 

 不自然な油

パリッとした食感で、腐敗しにくい。

ショートニング(クッキー、パン、ケーキなど)、マーガリン、ファストスプレッドなどに、多く含まれているトランス脂肪酸。

トランス脂肪酸は、商業的・経済的にはとても良い油だと思います。

 

某ファーストフードのポテトなどは、数年放置しても全く姿が変わらないという話を聞いたこともあります。

腐らない為か、「食べるプラスチック」などと呼ばれる事もあります。

 

 人体への影響と各国の対応

心筋梗塞、狭心症、LDLコレステロールの上昇、認知機能の低下、糖尿病、肥満など。

トランス脂肪酸は、人体に様々な悪影響を及ぼす事が明らかになってきました。

 

既に、アメリカ、スイス、オーストリア、デンマークでは、トランス脂肪酸含量の規制があり、カナダ、アルゼンチン、韓国、中国などでは表示義務が課せられています。

WHO(世界保健機構)も、トランス脂肪酸の量を一日当たりの総エネルギー摂取量の1%未満とするよう、勧告を出しています。

 

 日本政府の対応は?

「トランス脂肪酸を含む栄養成分の、情報開示が行われることを期待する

残念な事に、日本では未だに、何の規制もありません。

「期待する」との強制力のない表現にとどまっています。

 

企業が自主的にトランス脂肪酸含量を減らす動きも出てきています。

日本でも、一刻も早く規制を導入してもらいたいものですね、

 

薬剤師 西田稔生