カルシウムパラドックスと動脈硬化

執筆者:漢方専門薬剤師 西田稔生

巡心堂漢方薬局 西田稔生



薬剤師。漢方療法研究家。株式会社巡心堂代表取締役。

難治性疾患の患者様を多く見るにつけ、

「現代医学だけで治らずに困っている人々の為に、自分に何ができるだろう」

と考え、漢方の道を志しました。中医学+生物化学の独自の漢方治療が巡心堂の特徴です。

これまでにも、医師達が匙を投げた疾患が、巡心堂の漢方薬治療で治癒した症例が沢山ございます。

どんな疾患でも諦めずにご相談ください。


骸骨

 カルシウムと動脈硬化

血管内膜で起こるアテローム性動脈硬化症

私たちの動脈は、内膜・中膜・外膜の三層に分かれています。

血管内膜は、LDLコレステロールや活性酸素などの影響により、アテローム性動脈硬化を起こします。

アテローム性動脈硬化症とは、傷ついた血管内膜にLDLコレステロールやマクロファージなどが入り込み、お粥状のコブを形成してしまった状態です。

カルシウム過多で中膜硬化が起こる

そして、あまり知られていないのですが、血中のカルシウムが多過ぎると、中膜硬化を起こしてしまいます。

他にも、カルシウム性の結石ができ易くなったりと、カルシウム過剰状態は人体に悪影響を与えます。

では、カルシウムは摂取しない方が良いのでしょうか?

 カルシウムパラドックス

人体にとって重要なミネラル「カルシウム」

神経伝達物質としても重要な働きをしているカルシウムは、生きていく為に、常に一定の血中濃度に保たれている必要があります。

摂取カルシウム量が減少すると、人体は、骨や歯を溶かしてでも血中濃度を維持しようとします。

過剰な溶出がカルシウムパラドックスを引き起こす

その時に、丁度いい量で溶出が止まってくれれば良いのですが、過剰に溶出してしまい、カルシウム過剰状態を引き起こしてしまいます。

これがカルシウムパラドックス(逆説)と言われる所以なのですが、「カルシウムが足りないと、逆にカルシウム過剰を起こす」のです。

カルシウムはしっかり摂取して、動脈硬化を予防してください。

人間の体って、面白いですね。

漢方専門薬剤師 西田稔生