糖尿病の原因とメカニズム
糖尿病の原因反応「メイラード反応」とは
糖質は、私たちにとって非常に馴染みの深い栄養成分ですね。
比較的素早く利用でき、特に脳や赤血球にとって主要なエネルギー源となっている糖質。
必要な栄養成分ならば、多ければ多い程良い様にも思ってしまいますが、残念ながらそういう訳でもないのです。
さて、糖と関係の深い疾患と言えば、代表的な生活習慣病である「糖尿病」です。
そもそも、糖尿病で糖質が過剰な状態は、人体にとって一体何がいけないのでしょうか?
イメージしやすくするために、食べ物を例に出してみます。
例えば肉を焼いた時、
例えば玉ねぎを炒めた時、
例えばパンを焼いた時、
色が褐色に変わって、なんとも香ばしい香りがしますね。
この、糖分とタンパク質が結合して褐色になる反応にはちゃんと名前が付いていて、「メイラード反応」といいます。
そして実は私たちの体内でも、血中の糖分とタンパク質(血管壁や体細胞)との間で、メイラード反応が起こっているのです。
糖尿病合併症の原因物質AGEs(エイジス)
この反応は残念ながら、タンパク質を美味しく、褐色に変えるだけの反応ではありません。
メイラード反応によって生成される「AGEs(エイジス)」という物質群が大問題であり、糖尿病の三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)を始め、動脈硬化、アルツハイマー型認知症、骨粗鬆症、関節リウマチ、全身の老化などなど、多種多様な疾患の原因になっているのです。
通常、AGEsを増やさない為に、血中のブドウ糖(グルコース)濃度が高まると、すい臓から血糖値を下げるインスリンというホルモンが分泌されます。
そしてインスリンの働きにより、糖分は体細胞によって消費されたり貯蔵されたりして、正常な血糖値が維持されています。
しかし、このインスリンの分泌量が減少したり、正常に分泌されても効き目が薄く(インスリン抵抗性)なったりするとどうなるでしょうか?
血糖値が高い状態が長時間続く事になってしまい、血中の過剰な糖分とタンパク質がメイラード反応を起こし、大量のAGEsが生成されてしまいます。
この状態が正に、「糖尿病」なのです。
血液検査の項目の「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という糖尿病の指標は、血中のヘモグロビンがメイラード反応でどの程度変質してしまっているかを示した数値です。
タンパク質でできている血管や体細胞が、徐々に褐色になりボロボロに変質していく・・・ 想像すると恐ろしいですね。
ちなみに、老化にも関係するメイラード反応のAGEs(エイジス)と、年齢・高齢などの意味のAGE(エイジ)とは、関係ありそうで全く無関係です。
調理器具の上で起こる分には、大いに人類の食文化に貢献してきたであろうメイラード反応。
体内では、なるべく起こさない様に制御する事が大切です。
それではここで、糖質の吸収を抑える漢方薬による、ほぼ食事制限をしなかった糖尿病の治療症例をご紹介したいと思います。
糖の吸収を抑える漢方薬によるほぼ食事制限なしの糖尿病治療 大阪府大阪市
コントロール不良の糖尿病
患者様は、大阪府大阪市の60代男性。
元々食べるのがお好きだったのもあり、2015年についに糖尿病と診断されてしまいました。
最初は病院さんの内服薬で治療しておられましたが、なかなか血糖値の調節が上手くいかなかったそうで、何とか漢方薬で糖尿病を克服したいと巡心堂にご来店されました。
当時の空腹時血糖値は200mg/dl以上で、長期の血糖値の推移を示すHbA1cも8%以上まで上がっていました。
正常値は、空腹時血糖値が110mg/dl未満。HbA1cが6.0%未満となっていますので、かなりオーバーした状態です。
体質や病歴などをお聞きし、糖分の吸収を抑える漢方薬をお渡ししました。
三ヶ月で血糖値もHbA1cも正常化!
巡心堂の漢方治療を始められて二週間ほどで、早くも血糖値が200mg/dlから135mg/dlまで下がりました。
西洋薬は服用されていませんし、低血糖症状なども出ていません。
そして二ヶ月後には、血糖値108mg/dl、HbA1c6.3%と、血糖値は既に正常値に。
三ヶ月が過ぎるころには、血糖値104mg/dl、HbA1c5.9%と、両方とも正常値内に入りました!
HbA1cは、長期間の血糖値の推移を見る指標ですので、血糖値の正常化よりも遅れて下がってきたのでしょう。
ちなみに、治療中もほとんど食事制限などされていなかったそうです。
「血糖値がこんなに下がるなんて思わなかった。実は最初はあまり期待していなかったんだが、漢方を選んで本当に良かった!」
と、何とも正直なご感想を頂きました。(笑)
加えて、ややぽっちゃり型だった体型も、大分スリムになられました。
糖分の吸収が穏やかになる事により、過剰な糖分が脂肪に変わるのを防げます。
また、腹持ちが良くなる事で、食事制限をしている意識がなくても自然に間食が減るという効果もあります。
巡心堂で糖尿病治療をされている患者様は、特にダイエットをされなくても、良い感じに痩せていかれるケースが多いです。
この患者様は、治療開始から三年以上経つ現在でも、血糖値、HbA1c共に、正常値を楽々キープしておられます。
統計によると、2014年の日本人の糖尿病の患者数は316万人で、過去最高を記録しています。
世界全体でも、2015年の糖尿病の患者数は約4億人と、爆発的に増加しているそうです。
AEGs増加による糖尿病の三大合併症(網膜症、腎症、神経障害)や、動脈硬化、アルツハイマー型認知症、骨粗鬆症、関節リウマチなどの疾患は、非常に厄介です。
今回の症例では漢方薬単独での治療でしたが、病院さんの西洋薬やインスリン注射との併用ももちろん可能です。
合併症などが起こってしまう前に、漢方薬による糖尿病の克服は、ぜひ巡心堂漢方薬局までご相談くださいませ。
薬剤師 西田稔生