皮下脂肪型肥満症と内臓脂肪型肥満症
体脂肪には、皮膚の下に蓄えられる「皮下脂肪」と、内臓の周囲に蓄えられる「内臓脂肪」があります。
飢餓状態でも生きていけるように、エネルギーの貯蔵庫として必要な体脂肪ですが、やはり過剰に存在するのは身体にとって良くありません。
比較的女性に多い、腰回りや太ももなどの下半身に脂肪がつくのが「皮下脂肪型肥満症」です。
下の方が膨らんでいるため、洋ナシ型肥満症とも呼ばれます。
一方、男性や閉経後の女性に多い、お腹がぽっこり出るタイプの肥満症が「内臓脂肪型肥満症」です。
中央部が膨らんでいるため、りんご型肥満症とも呼ばれます。
メタボ検診などでは、「男性85cm以上・女性90cm以上」の腹囲で、生活習慣病のリスクありと判定されるようです。
アディポネクチンと脂肪細胞
近年注目されている善玉生理活性物質が、「アディポネクチン」です。
動脈硬化や糖尿病、癌、肥満などを予防してくれる、素晴らしい物質なのですが、意外な事にこのアディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されています。
それでは、脂肪細胞を増やせば良いのかというと、もちろんそうではありません。
脂肪細胞は、増えるというか、膨らんで体積が増えるイメージで大きくなります。
一つ一つの脂肪細胞が膨れてしまうと、細胞間の隙間が無くなり血行不良状態となり、逆に悪玉の生理活性物質が分泌されてしまいます。
この傾向は、皮下脂肪よりも内臓脂肪の方が強く、内臓脂肪型肥満症の方は、より動脈硬化や癌などにかかり易いのです。
しかしご安心ください。
内臓脂肪は皮下脂肪よりも代謝されやすく、健康的な生活習慣に戻れば、比較的楽に落ちてくれる傾向にあります。
ちなみに心臓にも脂肪がつくのですが、これはさらに凶悪である代わりに、さらに代謝速度が速く、すぐに落ちてくれますよ。
薬剤師 西田稔生