中医学的診断方法 舌診(ぜつしん)

執筆者:漢方専門薬剤師 西田稔生

巡心堂漢方薬局 西田稔生



薬剤師。漢方療法研究家。株式会社巡心堂代表取締役。

難治性疾患の患者様を多く見るにつけ、

「現代医学だけで治らずに困っている人々の為に、自分に何ができるだろう」

と考え、漢方の道を志しました。中医学+生物化学の独自の漢方治療が巡心堂の特徴です。

これまでにも、医師達が匙を投げた疾患が、巡心堂の漢方薬治療で治癒した症例が沢山ございます。

どんな疾患でも諦めずにご相談ください。


舌診の紹介写真

舌は外から見える唯一の内臓

あなたは、自分の舌をじっくり見たことがありますか?

舌には沢山の血管が集中しており、実は身体の様々な状態が表れているのです。

唯一の「外から見える内臓」みたいなイメージでしょうか。

舌診(ぜつしん)について

舌の状態の判断方法

中医学には、舌の状態から、身体全体の状態を診断していく方法があります。

これを、「舌診(ぜつしん)」と呼びます。

例えば、

  • 舌の色が薄い ⇒ 貧血傾向
  • 舌全体が赤い ⇒ 体が熱を持っている 脱水傾向
  • 舌先だけ赤い ⇒ ストレスを感じやすい
  • 白い苔が多い ⇒ 水分が多い or  体が冷えている
  • 舌に黒っぽい点や筋がある ⇒ 血流が悪化している
  • 舌に溝がある ⇒ 脱水傾向 胃腸の調子が悪い
  • 舌が浮腫んでいる ⇒ 水分の停滞がある

などです。

ただ、これは一種の目安であり、問診結果なども含めて総合的に身体の状態を判断していく事が大切です。

舌の溝は、生まれつきの事もありますので、あまり心配し過ぎない様にしてください。

舌の部位の判断方法

舌を「舌先1/3、中央部1/3、奥1/3」の三つに分けた時、

  • 舌先部:体の上の方(上焦・五臓の心)
  • 中央部:体の中央辺り(中焦・五臓の脾)
  • 舌奥部:体の下の方(下焦・五臓の腎)
  • 舌の両サイド:五臓の肝

の対応になります。

こちらも、ある程度の目安だと思ってください。

ただ、C型肝炎の患者様の舌の「肝」のエリアが、くっきりと黒くなっていたりと、はっきりと舌に病位が現れる事もあります。

舌の苔は取る? 取らない?

ちなみに、あまり苔は取らないでくださいね。

舌の苔は「舌苔(ぜつたい)」と呼ばれています。

舌の表面を覆う「味蕾(みらい)」という味を感じる器官はかなり鋭敏にできていますので、ゴシゴシやるとすぐに傷ついてしまいます。

根本的な体質が変わらない限り、舌苔を取っても、また舌苔は出てきます

舌苔は、そっとしておくのが基本です。

漢方専門薬剤師 西田稔生