原因不明の痒み
転びそうになったら痒くなった??
先日の、ある患者様のお話です。
「自転車で急に曲がろうとしたら、縁石に乗り上げて車道の方に転びそうになりました。
そしたらそのすぐ後で、体中が痒くなりました」
との、不思議な病状です。
痒みは、その後数分で消失したそうですが、どうも気になるし、また痒みが出たら嫌だから何とかして欲しいとのご相談でした。
この痒みは、一体何なのでしょう?
コリン性ジンマシンとは
自律神経とコリン性ジンマシン
これはおそらく、「コリン性蕁麻疹」の軽い症状だと思います。
「手に汗握る」とか、「ヒヤッとした」とも言うように、緊張すると人間は汗をかくもの。
交感神経と発汗
「コリン」とは、神経伝達物質の「アセチルコリン」の事です。
コリン性蕁麻疹とは、緊張を司る「交感神経」が興奮して発汗し、それが原因で痒みやジンマシンが出た状態です。
温まったりお酒を飲んで出る場合もあるようです。
交感神経と副交感神経
アクセルの役割の交感神経と、ブレーキの役割の副交感神経。
これらは、ずっと昔から人間に備わっている、基本的な神経系です。
ちなみに手の平の汗は、私たち人間の祖先達が木の枝や武器を落とさない様に、「滑り止め」の為にかいていたなごりの様です。
しかし、それが今回の症例の様に、悪さをしてしまう事もあるのです。
まとめ
この方は、転びそうになった事で瞬間的に交感神経が緊張し、それが原因で少量発汗して痒みが出たのでしょう。
誰にでも起こりうる症状ですし、慢性化している訳でもないので、特に治療の必要は無さそうです。
この様に自律神経は、一見関係なさそうな症状とも関係している事がありますので、よく患者様のお話を聞いて推理していく事が大切です。
薬剤師 西田稔生